大規模マンションの防災訓練
東日本大震災から6年目を迎えた2017年3月12日(日)千葉県習志野市の大規模マンションで防災訓練が実施されました。世帯数1,453戸のうち、およそ1/3が参加し大盛況となったこの防災訓練について、当日の様子をレポートします。

「マンション住民の間で、共助に対する意識を確立させる」がコンセプト

2014年に防災委員会を発足後、マンション独自の防災マニュアル作成を進めていく中で、「共助」の重要性を住民一人ひとりに理解してもらうことが必要と実感。今回の訓練は、地震発生から災害対策本部立ち上げまでの流れを住民全員で学び、マンション内で用意されている防災備蓄品の使い方を確認し、さらに炊き出しを行う場合にはどのくらいの食材で何人分の食事を用意できるのかを体験する内容となりました。

防災訓練の内容

防災訓練のメニューは大きく4つで構成されました。

(1) 住民初動訓練
(2) 近隣住戸安否確認訓練
(3) 防災資機材展示・利用訓練
(4) 炊き出し給食訓練

住民初動訓練

インターホンからの館内アナウンスとベルの鳴動後、各世帯では自宅で「シェイクアウト訓練(※)」を行いました。揺れがおさまったと想定した後に火災予防行動を行い、玄関ドアの外側に「避難済」の安否連絡マグネットシートを貼りだします。安全に避難した世帯がマグネットシートを貼りだすことで、対応が必要な住戸の確認が迅速に行えるため、各世帯にこのマグネットシートの役割をお知らせすることが大変重要となります。

自宅から避難するときに、玄関ドアの外側にマグネットシートを貼りだします。

※シェイクアウト訓練:いざというときに素早く反応して自分の身を守ることができるよう、地震発生時の安全確保行動「まず低く、頭を守り、動かない」を練習する訓練。

近隣住戸安否確認訓練

このマンションは、棟が複数あり、また1棟ごとの住戸数も多いため、安否確認は「フロアごとにリーダーを決めて当該フロアの安否状況を集計」「各フロアのリーダーは棟のエントランスに集まり棟代表にフロア単位の安否状況を報告」「各棟の代表が棟全体の安否状況を災害対策本部に報告」という流れで行います。
「各フロアのリーダー」は、当日マグネットシートを貼りだしてあらかじめ決められたフロアの集合場所に集まった人の中から決めます。集合場所には、リーダーを決めた後にすべきことが記載された指示書と、安否確認に必要な資機材が設置されているため、当日リーダーになった方も戸惑わず行動できていました。実際に地震が発生したときは、防災委員ではない人だけがいる場合もありえます。住民の皆さんには最低限「どこに何があるか」を知っておいてもらい、防災備蓄品のそばに「指示書」を用意しておくことで、自然と防災活動が行われることが期待できます。

フロアの集合場所に集まった人の中からリーダーを選び、担当フロアの玄関ドアを確認してマグネットシート貼りだしの有無を集計します。

各フロアのリーダーは棟の代表に担当フロアの安否状況を報告。各棟から集められた安否状況は災害対策本部で取りまとめられます。

 

防災資機材展示・利用訓練

マンションに用意されている防災資機材にはどのようなものがあり、いつ、どのように使うのかを住民の皆さんにお知らせするため、救助用工具や投光器、発電機、マンホールトイレなどが展示されました。特に発電機に関心の高い住民の方が多く、防災委員の方から説明を受けて、たくさんの方が実際にガスボンベを挿入しエンジンをかけるまでを体験していました。防災委員の方々は、自ら住民の方へ説明できるように防災訓練の前に各資機材の使い方を学んでいらっしゃいました。同じマンションに住んでいる住民同士のやり取りとなるため、実際に災害が起きたときのことを具体的にイメージした質問が出るなど、各防災資機材の役割がとてもよく浸透された印象を受けました。

ガスボンベの向きが違うと挿入できないことなど住民の方が実際に体験されることで、いざというときに各資機材がスムーズに活用される可能性が高まります。

マンホールトイレや応急処置セットにはこどもたちも興味津々の様子。

 

炊き出し給食訓練

マンションで炊き出しを行う場合、どれくらいの食材で何人分の食事を用意することができるのかを把握するために、炊き出し訓練が行われました。今回の防災訓練では200人分を想定して材料や資機材を準備しました。炊き出しでは順番を待つ人の長い列ができるため、待ち時間に各自で防災について学んでいただけるよう、各世帯で用意すべき防災グッズや水・食料の備蓄、家具固定についての防災情報パネルを列の横に展示しました。

防災情報パネルを見ながら、家族で防災について話し合う姿も見られました。

大規模マンションの防災訓練
理事長様からのコメント

全体の1/3もの世帯がマグネットシートを貼りだしてくれたことは大きな成果だと思います。今回の訓練で分かったことを反映して、より実効性の高い防災マニュアルを完成させる予定です。

 

まとめ

こちらのマンションでは、2014年から防災マニュアルの作成を進めてきました。マニュアルで決めたルールに沿って実際に安否確認活動をしてみると、想定していなかったことが起き、住民の方から質問が出たりします。安否確認は共助のベースとなる大変重要な活動ですので、いざというときにできるだけ迅速に活動できるよう、分かりづらいところなど問題をあぶり出して誰でも行動できるようなルールにしていかねばなりません。特に戸数の多い大規模マンションでは住民へルールを周知することが困難ですが、今回の事例のように防災訓練で実際に体験するという方法はとても有効です。また、防災資機材の使い方をまずは防災委員会の皆さんが学び、それを直に住民の皆さんへお伝えすることで、参加した人たちの中で「自分ごと」という意識が共有されている印象を受けました。


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