大規模なマンションには、とても多くの人々が住まいます。災害時、助け合える人が近くに沢山いるというのは大いなるメリット。その良さを最大限発揮するためにも、初動となる「安否確認」は非常に重要です。

東京都江東区に建つ『Brillia Mare 有明』では、マンション防災マニュアルに基づいた実践的な安否確認訓練が、年に2回という頻度で行われ、1,000戸を超える規模のマンションでありながら、有効な安否確認手段を確立しています。今回は11月12日に開催された訓練に密着。その様子をレポートしましたので、大規模マンションの安否確認の好事例としてご参考にしていただければ幸いです。

大規模タワーマンションに有効な安否確認手段とは

こちらのマンションの防災マニュアルでは、大地震が発生した後、以下の様な安否確認フローがルール化されています。
大規模タワーマンションに有効な安否確認手段とはそれでは、訓練当日の動きを追いかけながら、各段階での行動についてさらに詳しくご紹介します。

① 身の安全を確保

朝9:30、インターホンおよび館内放送にて「大地震発生」のアナウンスが。「身の安全を確保してください」「火の元を消してください」各戸にて放送の指示に従います。

② 各戸安否を表明

「大地震発生」の知らせから5分後「安否確認を行いますので『無事』な方はタオルを玄関扉外側にかけてください」のアナウンスが。ロの字構造で吹き抜けになっている内廊下のあちこちから、玄関扉を開け閉めする音が響き渡ります。

各戸安否を表明

ドア部分にかけたり、結んだり。完全にドア外に出ることなく対応できます。

なお、災害時、救助救護が必要な時には、タオルを挟んでドアを開けておき、近隣の住民に助けを求めることになっています。

③ 各フロアで安否確認を実施

「タオルかけ」指示からさらに5分後「訓練にご参加いただける方は、各階の拠点に集合してください」とのアナウンス。フロアの各所には、集合場所の方向を示す案内サインが設置され、参加者が行き先に迷わないよう工夫がなされています。

各フロアで安否確認を実施

分かりやすく示される集合場所への案内サイン。訓練数日前より設置することで認知を高めたそう。

集合場所である拠点には、指示書が置かれています。参加者はその指示書に従い、まず「フロア長」「フロア長補佐」の役割分担を決め、「フロア長」はその場に待機、「フロア長補佐」は各戸のタオルによる安否表示の確認に向います。(さらに参加者がいれば、「フロア長補佐」の安否確認の手伝いとして同行します)

各フロアで安否確認を実施

取材していた16階では2名の男性が参加。役割分担を決め、さっそく安否確認がスタート。

各フロアで安否確認を実施

確認開始時に娘さんへHELPを要請。タオルチェックをしてシートに記入する(子)、不明戸に「不在連絡票」を残す(父)、見事な連携プレーで次々に安否確認が進んでいきます。


④ ブロック内の安否確認結果を取りまとめる

フロアすべての安否確認が完了したら、「フロア長補佐」「フロア長」に結果を報告。ここまでで「フロア長補佐」の訓練上の役割は終了です。

続いて「フロア長」は、取りまとめた結果をもってブロック拠点とされているフロアに避難階段を使って移動します。こちらのマンションは33階建て。居住フロアは2階から32階となっており、5階で1ブロックを基本としブロック拠点階が定められています。ブロック拠点階に到着したら、「ブロック長」に担当フロアの安否確認結果を報告し、「フロア長」の訓練上の役割は終了となります。(災害時はフロア拠点への集合者全員で、救護活動等に参加することになっています)。

ブロック内の安否確認結果を取りまとめる

取材した階のブロック拠点は1つ下の階。
「フロア長」が「ブロック長」に担当階の安否確認結果を報告しています。

この後「ブロック長」は他階の「フロア長」からの報告を待ち、結果をとりまとめます。結果がそろい次第、今度は非常連絡用インターホンを使い、担当ブロックの安否確認結果を「災害対策本部」へ報告します。

災害時にはこの後、救護活動等を行う流れになりますが、訓練では「ブロック長」の役割もここで一区切り。集約した安否情報シート等の書類の提出、トランシーバー返却のため、「災害対策本部」へ向かいます。

ブロック内の安否確認結果を取りまとめる

本部報告は「非常連絡用インターホン」の利用がルール化されていますが、各ブロック拠点階からの連絡重複やインターホンが使えなくなった場合にそなえ、トランシーバーも配布されています。


⑤ 本部にてマンション全体の安否状況を把握

「災害対策本部」には理事会役員、災害協力隊隊長、副隊長が集合します。訓練では拠点を1階エントランスに設営。「ブロック長」からのインターホン報告を受け、各階の安否確認結果をホワイトボードに記し、集約していきます。

本部にてマンション全体の安否状況を把握

全部で6ブロック編成。階ごとに「無事」と「不明」の戸数を書き込んでいきます。

最後に「安否確認訓練を終了します。玄関ドアにかけたタオルをお戻しください」というアナウンスが流れ、本訓練は完了、という流れです。

明確なルール設定と繰り返しの訓練で高まるクオリティ

各所で様子を拝見しておりましたが、どの拠点でも大きな混乱はなく、円滑に進行していました。行動に迷いがないという印象です。

  • 行動ルールを「震災時活動マニュアル」という形で明確に定めている
  • 訓練によってルールの実効性を確認し、課題を見いだす
  • ルール見直しなどで解決策を検討し、次の訓練で試す

まずルールを定め、その実行性については訓練にて試行錯誤を繰り返す。結果として、安否確認活動が洗練されつつあるようです。さらに注目したいのは安否確認訓練への参加率(今回の訓練では、後日の「不在連絡票」提出を含め750戸69.4%が参加)。「玄関ドアにタオルをかける」この簡素な方法が参加者の敷居を低くし、「回数を重ねる」ことで多くの居住者にしっかり浸透している様子でした。

同日は防災セミナーや防災グッズ展示販売会なども開催。
メインイベントであるバーベキュー会場は多くの居住者で賑わっていました。

バーベキューは居住者間の交流促進が狙い。
ブロック毎にテーブルがセットされており、にこやかに談話が交わされていました。

災害時は平時と状況が一変します。マニュアル通りの活動ができるという保証はありません。ただ、活動の基本となるルールがあり、日々の訓練でその方針が身についていれば、いざという場面での思考停止を防ぎます。マンション内で助けあうための礎になると言えそうです。

Brillia Mare有明 理事長 川端様のコメント
訓練そのものに「楽しさ」をプラスして
安否確認訓練はスムーズに進行するようになりました。ただ、実際の災害は平日に発生する可能性が高く、理事会役員や災害協力隊など、リーダー役となる人員が少ない場面でどれほど機能するかは課題の一つです。フロア長やブロック長、対策本部対応なども、できるだけ多くの方に体験いただきたいですね。そのためには集客イベントも大切ですが、訓練そのものを楽しめるような工夫をし、進んで参加したくなる仕掛けができないかと。目下検討中です!

Brillia Mare有明 災害協力隊隊長 小木曽様のコメント
居住者主体での安否確認実現を目指して
少しずつではありますが、各フロアの安否確認巡回の場面でも、一般居住者の参加が増えてきました。将来的には災害協力隊などのフォローが無くとも、マンション全体の安否確認が成し遂げられるようなレベルを目指しています。訓練内容もどんどん進化させたいですね。懸案事項は沢山あります。そのためにも、災害協力隊メンバーをもっと増やしたい。防災に興味のある方、協力いただける方を常に募集して、オープンな会として運営していきたいと思います。

マンション防災をトータルサポート!
つなぐネットでは、マンション防災対策の骨子になるルールづくりをはじめとし、マンション防災備蓄品の選定、防災セミナーをはじめとする各種イベントの企画や実施等、お住まいのマンション防災をトータルでお手伝いします。お気軽にご相談ください。
>マンション防災支援サービスに関するお問い合わせはこちら

本イベントでは、安否確認訓練の拠点フォロー、防災セミナー講演を当社で行いました。
また、以前ご提供した防災対策に関する展示パネルも、引き続きご活用いただいています。


 

関連情報

関連キーワード