マンション防災取り組み事例:仙台市 シャンボール第2荒町 様

東日本大震災をマンション内被災生活で乗り越えた自助・共助マンション

仙台市のマンション「シャンボール第2荒町」では、2011年の東日本大震災発生から復旧まで、マンション住民全員が避難所へ行かず、マンション内で生活することができたそうです。
マンション内被災生活を実現した貴重な事例として、住民の方々にご協力いただきお話を伺いました。


シャンボール第2荒町

シャンボール第2荒町戸数:127戸
階数:8階建て
築年:1982年10月
防災倉庫:あり(床面積12.5m²×2ヶ所)
防災マニュアル:あり
防災訓練:「自主防災・防火訓練」として春・秋の年2回実施
その他:仙台市「杜の都防災力向上マンション認定制度」3つ星認定マンション

「仙台市だより2013年4月号・わたしの防災宣言」

1.東日本大震災 発災直後から復旧まで

シャンボール第2荒町様は、2004年頃から宮城県沖地震に備えて、防災をマンションの最重要課題に位置付け、防災対策に組合予算を割り当てるなど、積極的に防災に取り組んでこられたマンションです。
日頃の防災訓練の効果と居住者同士の協力により、東日本大震災発災から復旧に至るまでの間、誰一人指定避難場所へ行くことなく、マンション内被災生活で震災を乗り越えられました。
そのマンション内被災生活の状況を、時系列でご紹介いたします。

1日目発災直後:居住者住民による避難施設の設置と炊き出しの準備

発災当日の夜。非常用照明で中庭を照らし、防災倉庫から運び出された炊き出し用の大釜で夕食をつくる様子。

2011年3月11日震災発生当時、マンション居住者約300名のうちのおよそ半数150名ほどがマンション内にいまし た。そのほとんどが、高齢者、女性、子供。 発災時、理事は外出していて不在でしたが、マンションにいた居住者によって自主的に避難施設(テント、暖房器具、夜間照明器、テーブル、椅子など)が、 「いっとき避難場所」として指定されていたエントランス前の敷地内に設置されました。これは日頃の防災訓練の成果によるものです。

夕方にはマンションへの帰宅者も含め、全戸の安否確認の実施と被害状況を確認。地震により玄関ドアの開閉ができなくなった住戸が40戸あったため、3人1組の2班がバールでドアをこじ開けて、居住者を避難場所に誘導しました。

お年寄り・車椅子の人・持病のある人・子供は建物内の集会室へ、それ以外の人々は中庭に設けられた避難テントで過ごしました。

地下貯水槽からの雑水の汲み上げ、炊き出しの準備が行われ、3月11日の夕食から居住者全員分の食事を提供し始め、一人も近隣の指定避難場所へ行くことなく、マンション内被災生活がスタートしました。

2日目以降のマンション内被災生活

玄関ドアの開閉ができない住戸、家具の転倒で居住できない住戸、(エレベーターが使用できなくなったため生活が困難になった)高層階の住戸の居住者は、避難テント生活を余儀なくされました。
以下は、2日目から4日目に避難所運営を終了するまでのマンション内被災生活の様子です。

ライフライン

2011年3月12日以降も電気・水道・ガスがストップしていたため、夜間照明については、2名ずつ交代で夜間照明の燃料(ガソリン)を補充。3日目に夜間照明のガソリンが切れてしまったため、日頃から協力し合っている町内会から支援を受けました

※ ライフラインの復旧:電気(3月14日)、水道(3月14日)、エレベーター(3月15日)、ガス(3週間後)

食料

区役所へ備蓄食料の調達に出向いたが、指定避難場所である小学校も大勢の避難者が集まって混乱しており食料調達は困難でした。マンションの備蓄と、居住者の冷蔵庫の中の食料を供出してもらい、マンション内避難所を3月14日に終了するまでの4日間の炊き出しを行うことができました。

4日間のマンション内被災生活で有志による持ち寄りもあり食料に困ることもなく過ごせたシャンボール第2荒町様でしたが、指定避難場所であった小学校では、1,300名もの避難者が集まり、暖房のない教室でおにぎりの配給を分け合って食べていたそうです。

トイレと飲料

トイレ用の水は地下貯水槽の水を汲み上げて対応。飲料水は、備蓄していた飲料水、受水槽および契約していた文化服装学院の協力で確保しました。簡易ポータブルトイレを46台設置したが、居住者全員の使用では限界を超える使用頻度でした

情報伝達方法

マンション玄関にホワイトボードを設置。出かけたり親戚宅に泊まったりする場合には不在情報を書き込んでもらっていたので、居住者の状況を把握するのに役立ちました。情報は、ホワイトボードに書き出すと共に、要支援者には直接伝えて共有を図りました。

住戸の整理と片付け

2日目以降、4人体制の2班で、家具などが倒壊した住戸の整理と片付けを実施。ふだんは働いていてマンション活動にあまり参加できない人や若者が積極的に活躍してくれました。

被害状況と復旧について

幸いシャンボール第2荒町様の場合は、人的被害を出すこともなく、みんなで一致団結してマンション内被災生活を4日間で終えることができました。しかしマンションの建物被害は以下のような状況でした。

被害状況

建物の被害

  • ドアの開閉不能:40戸
  • 外壁:廊下側を中心に150ヶ所強の亀裂が発生。
  • 受水槽の破損:2つに仕切られている受水槽内の片側が破損。
  • エキスパンションジョイント(地震発生時の複雑な揺れから建物を守る建物接合金具)およびその周辺の破損。
  • 屋上避雷針の屈折および押さえ金具の破損。
  • 屋上金網の破損。
  • 廊下側ガラス破損、廊下天井に取り付けられたボックスなどの破損。

人的被害

  • 負傷者:なし

震災後すぐさま管理会社、施工・設備会社と連携して、被害状況を検証・把握。居住者の安全確保が最優先だったために、平時の対応ではなく、費用の見積も り・発注・工事着手についてスピーディに理事会決議がなされました。復旧にいち早く着手したことで、年内には建物の復旧も完了しました。

マンション内被災生活が円滑に行われた訳

シャンボール第2荒町様の場合、10年以上にわたって真剣に取り組んできた防災訓練の成果や居住者同士の円滑なコミュニケーション、充実した防災備蓄品により、一人も指定避難所に行くことなくマンション内被災生活を実現できました。


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