NIED「平成28年(2016年)熊本地震」特設サイトトップページ

NIED「平成28年(2016年)熊本地震」特設サイトトップページ

「J-SHIS地震ハザードステーション」など、地震に関するさまざまなデータを一般の人も利活用できるよう、研究成果を公開している研究施設があります。茨城県つくば市の国立研究開発法人防災科学技術研究所(通称:防災科研)に、その活動についてのお話を伺いました。今回から4回に分けてご紹介します。第1回は、「防災科研の活動について」です。

地震情報を防災活動に役立てるために、すべてのデータを公開!

防災科学技術研究所(以下、防災科研)は、自然災害から人命を守り、災害に強い社会を実現するために科学技術を活用して、地震、津波、氷雪、豪雨、竜巻、火山など、さまざまな自然災害研究を行っています。防災科研には、以下のような研究施設があります。

これらの施設で行われている最新の研究成果については、最新成果事例集や成果発表会で一般にも公開されています。国内外で大きな災害が発生しているいま、災害事例の研究から導き出された成果を知る場があることは、一般人の私たちにも嬉しいことです。

防災科学技術研究所の主な研究施設紹介

    • 大型耐震実験施設
    • 地震・火山観測データセンター
    • 大型降雨実験施設
    • 実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス) ※兵庫県耐震工学研究センター
    • 気象観測レーダ
    • 氷雪防災実験棟 ※氷雪防災研究センター

※各施設は見学・研修利用も受け付けています。詳しくは、防災科研のサイトからお問い合わせください。

今回は、社会防災システム研究領域 災害リスク研究ユニットの皆さんに、地震情報を防災に役立てるためのお話を伺いました。

研究員 水井良暢さん
社会防災システム研究領域 災害リスク研究ユニット
研究員 水井良暢さん
地質学、各種災害情報の利活用研究に携わる。

客員研究員 坪川博彰さん
社会防災システム研究領域 災害リスク研究ユニット
客員研究員 坪川博彰さん
地震情報を活用した地域防災支援活動を担当。

研究員 東宏樹さん
社会防災システム研究領域 災害リスク研究ユニット
研究員 東宏樹さん
J-SHIS(全国地震動予測地図)などのシステム情報担当。

水井さん「社会防災システム研究領域 災害リスク研究ユニットでは、個人や地域、国の防災活動に役立てていただくために、地震災害などのハザード・リスク情報や使いやすいシステムを提供するために研究を進めています。これまでに、地震ハザードステーションJ-SHISeコミュニティ・プラットフォーム2.0、地震災害関連などのデータを公開して、皆さんの防災活動に協力しています」

防災科研の研究施設には、たとえば地中と地表に設置された強震計による「強震観測網」、人体で感知できない微弱な揺れを検知する「高感度地震観測網」、ゆっくりした地震動を正確に捉える「広帯域地震観測網」、火山活動に伴う諸現象を検知する「火山観測網」、他に津波や気象など全国に合計約2,200ヶ所の観測網があります。こうして観測したデータが、さまざまな防災活動に役立てられています。

水井さん「よく、気象庁のデータとはどう違うんですか?と質問されることがあります。気象庁が発表している情報は、国としての公式な確定情報です。たとえば、実際に発生した地震の震度やマグニチュード情報などです。一方、防災科研では、解析などにも利用できるような源データを取り扱い、研究開発に役立てています。気象庁は“実運用”で、防災科研は“研究開発”というように捉えていただければと思います」

最近では「緊急地震速報」がその最たる例でしょう。2007年10月から気象庁を通じて実用化が始まった「緊急地震速報」には、防災科研による「高感度地震観測網Hi-net(約800点)」のデータやさまざまな解析技術が利用されています。
いまではごく当たり前になった「緊急地震速報」ですが、この速報のおかげで、大きな揺れが到達する前に地震の発生を知り、その後の防災・減災行動につなげることを可能にしました。

⇒防災科研ニュース特集「緊急地震速報を支える防災科研の技術」2007年9月(PDF)

データは、地震の「予知」ではなく、「予測」に役立てるもの

データは、地震の「予知」ではなく、「予測」に役立てるもの

地震ハザードステーションJ-SHIS

Webブラウザ上で、各種情報を閲覧できるWebマッピングシステム。約250mメッシュ(網目単位)で地震動予測地図が閲覧できる機能、住所や郵便番号によって詳細な位置が検索できる機能などを搭載。

「地震ハザードステーション(J-SHIS)」は、つなぐネットで主催する防災セミナーでも紹介させていただいている、地震に関するWebサイトです。インターネットやスマホのアプリを使えば、誰でも無料で閲覧できます。
J-SHISでは、政府の特別機関である地震調査研究推進本部の地震発生の長期評価や地震動の評価などに基づいた「全国地震動予測地図」や、予測に用いた基盤データを提供しています。
住所検索が可能なので、住んでいる地域の地震や地盤情報などがすぐにわかります。いま住んでいる土地の特性に関心を持ち、起きうる災害を想定して日頃の防災行動を考える上で非常に役立ちます。

東さん「J-SHISは非常に有益な地震情報が集まっているポータルサイトですが、ひとつ注意していただきたいのは、これは“予知”ではなく“予測”であるということです。まだ見つかっていない断層が存在する場合もありますし、ばらつきの多い情報群です。地震を“予知”することは不可能です。データを基にして、30年後、50年後、100年後という長いスパンをとって確率論的にみると、クリアな“予測”に近づいていきます」

科学的根拠のある“予測”を知ることにより、被害を減らすことは可能です。このように提供されている最新データをきちんと学び、防災・減災行動につなげていきたいものですね。

「平成28年熊本地震」でも、いち早く地震情報を公開

4月14日に発生した「平成28年熊本地震」を受けて、防災科研ではさまざまな機関で公開された各種情報を地図化したWebGIS(※)の「eコミマップ」を公開しています。一般向けに、通行規制情報、震度分布などの情報を公開すると共に、災害対応機関向けとして、避難所などの被災者に直接関わる情報も限定利用されています。

※WebGIS:地図情報システムをインターネット上で操作できるようにしたもの。地図を使った公開情報とその他情報を組み合わせて、目的に合わせた情報の加工ができる。

⇒防災科学技術研究所の平成28年(2016年)熊本地震の特設サイト

防災科研が公開するデータが、このように災害時に迅速に活用されていくことが、 “災害に強い社会づくり”につながるのでしょう。

次回記事では、J-SHISの地震ハザードカルテの使い方についてご紹介します。

防災科研/NIED
国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研/NIED)

自然災害から人命を守り、災害に強い社会の実現を目指し、地震、火山、水害、地すべり、雪害などのさまざまな自然災害に関する研究を行う機関。


関連情報