マンション防災に地震データを役立てるには?

防災科研の活動をご紹介する防災レポートシリーズ第4回(最終回)の今回は、防災科研のデータをマンション防災にいかに役立てるかということについて考えたいと思います。

マンションだけで孤立しない!地域の防災ハザードマップづくり

4回シリーズで防災科研が提供する地震に関する技術やサービスを紹介してまいりました。では、マンション防災を考える上で、これらを役立てるにはどうしたらいいのでしょうか?

坪川さん「私は、防災科研の技術や情報を地域防災に役立てていただくためのお手伝いを行っていますが、防災ハザードカルテを利用して、専門家と一緒に地域独自のハザードマップづくりなど地域防災に役立ててほしいとアドバイスしています。たとえば、J-SHISの地図を紙に印刷して地域の人たちで街歩きをしながら、昔の地形を知り、どこに危険な場所があるのか、自分たちで考えながら、ハザード+リスクを表した防災地図をつくってみてはどうでしょうか? 地域の人と交流しながら、助け合いのコミュニティを築くこともできます。私たちが提供するデータは、参考資料として役立ててもらいながら、防災活動を推進していただければうれしいですね」

坪川さんは、地域防災のアドバイザーとして各地を訪れるたびに、マンションだけが地域から孤立していると感じるそうです。地域と断絶しているマンションという構造を打開することが、マンション防災を考える上では重要です。マンションが地域にできること、協力を仰ぎたいことを交換できれば、共助力が向上します。

リスクとどうつきあうか?被害想定から考えるマンション防災

坪川さん「マンションやその周辺の被害想定から考えていくのはいいアプローチだと思います。J-SHISを活用して、想定される被害を考えたり、自分のマンションと他の場所を地震ハザードカルテで比べてみたりして、自分の住んでいる土地にはどんな災害特徴があるのかを知ることです。起こりうるリスクとどうつきあうかが問題です。いかにそのリスクを小さくするか、その点について住民で考えて取り組んでいくといいと思います」

マンション内にいるときに地震が発生したとして、避難所や学校、ガソリンスタンドなど、その後の行動範囲に含まれそうな地域についてよく知っておくことが重要です。液状化や交通網の分断など、起きうる事態を想定した上でマンションにて行うべき対策を進めましょう。

マンション内のリスクを考える上では、マンションの構造や居住者層を考慮する必要があります。高層マンションであれば、高層階と低層階、中層階の被害は異なってきます。それぞれのリスクを知り、これらの被害を最小限にとどめるために、各自の家具固定の徹底や、防災器具を最上階にも設置するなど、管理組合として行うことをリストアップし、優先順位をつけて実施しましょう。

熊本地震では、熊本市内のマンションの住民が、余震が続く中1階のエントランスホールに集まってマンション内被災生活を送っている映像を見かけました。高層階では特に揺れが大きくなり、不安でいられないということも考えられます。マンション内で、どのように助け合うことができるかも検討する必要があります。
土地・地盤の特徴にあわせた被害想定を行い、きめ細かな防災対策をとることがいま求められているといえます。

どんな場所に住んでいようとも、いつか地震が起こる可能性があります。そのためにも、防災科研のデータを、マンション防災に積極的に活用したいものです。

防災科研/NIED
国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研/NIED)

自然災害から人命を守り、災害に強い社会の実現を目指し、地震、火山、水害、地すべり、雪害などのさまざまな自然災害に関する研究を行う機関。


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